劇場版"文学少女"を見て、自分は "原作厨"になってしまったのだと実感した。

劇場版 "文学少女"に期待したこと。

劇場版 "文学少女"感想ですが……。私も "文学少女"は好きですからね……あんまり悪いこと書きたくないんだけど、劇場版はちょっと残念だったかなぁ……。アニメ文学少女に期待したことは以下2つ

  • 1.遠子先輩と過ごす文芸部の放課後が「うらやましいなぁ〜。」と思えるように描写されてるか?
  • 2.ダークな部分の描写とさわやかな閉めの「説得力」

遠子先輩と過ごす文芸部の放課後が「うらやましいなぁ〜。」と思えるように描写されてるか?

1.について。本田透さんも文学少女について「こんな放課後を過ごしてみたかった。」みたいなことを著書かなんかで書かれていたような気がしたのだけど、ここ重要。私なんてずっと男くさい運動部一筋でさぁ……そういえば、短編集で汗臭いボート部の奴らがでてきたけどさ、あれが俺だよ!*1まあ、それは置いておいて……



bungeibu

文化部で可愛い女の子の先輩と過ごすひと時ってすばらしいと思いませんか?憧れませんか?



ほら、最近も「文化部少女 だいすき!」とか出てたじゃないですか。そんなところをうま〜く表現して欲しかったのです。この点は良かったですね〜。もう、遠子先輩が可愛すぎて……。これだけで見る価値がある。文学作品を食べて饒舌になる遠子先輩。トラブルがあると暴走する遠子先輩。後輩のことを心配してくれ励ましてくれる遠子先輩。ああ、とにかく可愛すぎ。そして、二人で過ごすひと時は光り輝いてましたねぇ、青春ですねぇ……。私にはもうこんな日々を送るチャンスは無いんですねぇ……。しみじみ。
ちなみに私は「耳をすませば」を見て絶望するような人種ではない。私はアニメを客観的に見ることができるんです。あなたとは違うんですっ!……何でキレてるんですかね、私は。



ago  nanase

それはさておき、正直公式HP見たときはキャラデザにかな〜りガクッ!ときてました。「な、なんだこの顎アニメは……Kanonの悪夢の再来かっ!?」、と。でもまあ、確かに顎はとがってたけどあんまり気にならなかったです。劇場版でしかもIGだから作画クオリティは当然良いし。それより遠子先輩が可愛い。気になるといえば、ななせだけはダメでした。公式ホームページの絵を見て思わずTwitter「どこの野生少女だよ?」とpostしてしまったくらい。きつい茶髪とぼさぼさな頭がちょっとイメージと違いました。一応原作では容姿について「都会的であかぬけている」みたいな記述があったような気がしたんだけど……。



以下ネタバレありますので注意!!







「説得力」について

2.について。なんかね、映画って金を払ってみてる分どうしても「説得力」を求めてしまうんですよ。悪い癖です。とにかく「あなた、この映画に金払ってみる価値あったよ!」と説得されて帰りたい。だから、少しでも隙があると、それが見ているうちにどんどん増幅しちゃって視聴の妨げになっちゃうんですよねぇ……。今回はそれがモロ出ちゃいました。


まず、なんか劇場版だといきなり主人公と各登場人物が仲良くなってるところから始まってるんですよね。原作では重々しい独白から始まり色々とダークなことがてんこ盛りで、それでも最後には文学少女が太陽のようにみんなを明るく照らし美しい物語で終わる……。そういうのを経てみんなわかりあうんです。それなのに、そこをいきなりすっ飛ばして始まってしまう……。おいおい、これもしかして「原作読んでるの前提なのッ!?」……うん、たしかにドラマCDでいくつか話をこなしてるけど……それ聞いてるのが前提って辛すぎだろ、常識的に考えて。ということで始まるや否や「原作読んでなかった人、ついてこれてるのかなぁ?」とそればかりが気になってしまった。


で、メインストーリーは原作クライマックスのいいとこ取り。特にひどいと思ったのが、主人公の浮気者っぷりですね。「すげぇ、20分かそこらの間に3人女を乗り換えやがったっ!!」……驚きでしたよ。クライマックスを切り貼りしてつなげるとああなっちゃうんですねw
っていうか……原作だと最後の最後まで「ななせ派vs遠子先輩派」で主人公がどっちに転ぶのか論争になってたくらいなんですよ。私も最後まで「ああ、遠子先輩は可愛すぎるけど、ななせの一途さも応援したい……。」と迷わされたくらい。それでも、最後にはヘタレ主人公が決断して「よくやった!感動した!」って感心してたのに……。劇場版のあれはたんなるヘタレを装ったプレーボーイじゃないですか!羊の皮をかぶった肉食系男子ですよ!!


あとね……ダークな部分を吐き出す登場人物の描写はまあまあ良かったけど、やっぱり原作に比べて重みが無い。原作はチラチラとその登場人物の存在がほのめかされ、主人公にとってトラウマであることが何度も描写されている。そのタメがある分、目の前に現れたこと、そしてその人物から語られることすべてが衝撃的だった。でも、劇場版ではいきなり出てきちゃうから、え?となってしまう。そんなわけで、その登場人物が建物の屋上でつらつらと思いを語るシーンは、火曜サスペンス劇場によくある(放送時間内に終わらせる関係上)崖の上で今までのことを色々と暴露しちゃう容疑者」的な軽さが見えてしまって少し辛かったですね。そのせいもあってか遠子先輩の語りもちょっと入り込めなかったかなぁ。


あと、最後可愛すぎる遠子先輩を見送って綺麗に終わりっ!って感じになってるんですけど……。原作はコレで終わりじゃないですよ。このあと、昼メロも真っ青のドロドロ愛憎劇が繰りひろげられるんです。そこで終わっていいんですか!?



“文学少女”と死にたがりの道化 (ファミ通文庫)

ということで、つづきは原作で!…もちろん、1巻から!


たいへんお見苦しいところをお見せしました……。

私、よくラノベのアニメ化とかで「原作と違うー!」とぶーたれてる人見て、「原作と同じだったら、もう一度見る価値は無いだろJK」とか嘯いていたのだけれど、どうですかこの原作厨っぷりは……いざ自分にふりかかってくるとコレだよっ!


やっぱりね〜、TVアニメシリーズで見たかったよ。それで、劇場版、これでしょ。もしくは空の境界方式。そういう積み重ねを経た劇場版を見れば心にズーンと来たかもしれない。劇場版で面白いなと思ったのはやっぱ続きものだったしね。ヱヴァ破しかり、消失しかり。あれも積み重ねの結果たどり着ける境地だし。無理やり劇場版1話にまとめようとすればこうなるよね。


それと、最初に出てくる「エンターブレイン10周年記念」っていう文字見てさ、「なんか背負わされちゃってるなぁ〜。」って思いましたね。確かに……同じくファミ通文庫で人気の「バカとテストと召還獣」には10年記念の文字は背負わせられないですからね、作風的にw ああ、もしかしたらこのラノでランキング1位にならなかったら劇場版じゃなくてTVアニメ化ですんなり決まってたのでしょうか?だとしたら、あの時"文学少女"に票を入れた自分を責めるべきでしょうか?



……などと考えながらカラオケパセラ"文学少女"フェアの遠子先輩のおやつを食したのでした。


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文学少女フェアでもらったコースター。やはり遠子先輩は可愛い。

*1:「だって俺は『時かけ』の住人じゃないのだ。グラウンドで消火器持って暴れてたヤツがいたでしょ、アレが俺だよ! 」(本田透著「世界の電波男」より)のマネw いや、実際ボート部だったからかなり感情移入したのだがw