「スラムダンク」「あひるの空」のバスケ技はどれほど現実離れしているのか?(比較動画あり)

これの続き。CLANNADのバスケアニメの回から色々なことを書きましたが、今度は原作のバスケ漫画自体はどうなのかという考察。というか個人的にずっと気になっていたことをまとめてみた。


追記:2012/10/05

ちなみに、私は特にリアル描写を求めてるわけではありません。黒子のバスケは楽しんで読んでますwということで、今度は逆にリアルと対極にある黒バスの技が現実に使われていた事例をまとめてみました。

スラムダンクは現実的か?

スラムダンク

スラムダンクはもっとも現実的なスポーツ漫画だと僕は思っていますが、その中でもNBAプレイヤーでも不可能だと思われるプレーはありますか?

スラムダンクはもっとも現実的なスポーツ漫画だと僕は思っていますが、その中でも...

当然漫画的に楽しくするために現実離れした技がかなり出てきています。ダンクなんてそんなにできるものではない、でもスラムダンクという題名でダンクが出てこないのは問題ですからねw



清田信長のダンクはありえるのか?

清田信長の身長は他の選手がの身長差がかなりあるように見えたので165〜170cmぐらいだと思ってましたが、wikipediaによると178cmらしいです。DEAR BOYSでは175cmに関わらずダンクを連発するガードが主人公でしたが、正直あれはやりすぎだと思いましたw


NBAの選手だとダンクコンテストで優勝した小柄なガード、スパッド・ウェブ(170cm)やネイト・ロビンソン(175cm)などがいます。170台の日本人高校生の場合、たとえできたとしても試合ではほとんど使わないと思います(疲れる&精度が悪くなるので無理にはいかないはず)。ましてやペネトレイトからのダンクや194cmの赤木のダンクをブロックしにいくことは現実には難しい。NBAでは前述ロビンソンが226cmのセンタープレーヤーのシュートをブロックしたというのはありました。

凄まじいジャンプ力でびっくりした。それにしても…ネット上ではダンク論議になると「身長○○○cmでできるorできない」で荒れます。

226cmでNBA最長の中国人センター姚明(ヤオ・ミン)のシュートを175cmのPGがブロック!



流川のダンク→牧のブロックをダブルクラッチでかわす→ダンク

最初のリンク先の質問の中であげられていた非現実的プレー。個人的にもスラムダンクの中で最もありえないと思ったプレーです。ジョーダンの有名なプレーの一つにブロックされそうになったダンクをレイアップに切り替えるというものがあります。あのジョーダンでもレイアップに切り替えるのが精一杯。ダブルクラッチダンクはNBAでもかなり実現が困難な技だと思います。

3位のプレー。ジョーダン(ブルズ)vsマジック(レーカーズ)の対決が注目されたファイナル。その際見せたのがダンクをダブルクラッチのレイアップに切り替えたシュート。伝説のプレーの一つに数えられています。

やはりこれを実現するのはこの選手しかいない! NBA最強のスラムダンカーであるビンス・カーターのダブルクラッチダンクは5位。こんなの日本人高校生にできるわけがないw この動画は一見の価値あり。



赤木のローポストのアタック(赤木のFG%は一体いくつなのか?)

個人的に長年気になってしょうがないのが赤木のフィールドゴール%。赤木のローポストからのアタックを誰も止めれていないんですよね。唯一完封に近い形に抑えたのは山王の丸ゴリ(河田兄)。しかしそれ以外は手におえない印象がありました。


数字的には60%後半ぐらいいってそうな感じがします。*1しかし、作品内でFG%についての記述は一切なし。その他の赤木のスタッツについては県大会での平均ブロック数が4本だそうで、これも相当高い数字だと言えます。同様に三井や神の3Pの%も気になる。

赤木はアウトサイドシュートは一切撃ちませんでした桜木はミドルレンジのシュートを徐々にモノにしていったのにw まあ、あれだけインサイド強ければアウトサイドシュートの選択はありえませんが。ここに書かれているように、風貌はNBA選手のパトリック・ユーイングを意識しているに違いありませんが、ミドルシュートの上手さは正反対。何でもできるプレーヤーではなくインサイド限定+精神的支柱にするのはキャラ設定として良くできてましたね。

NBAオールスターPFカルロス・ブーザーによるポストプレーの基礎解説。ポジショニングからフック、フェイダウェー、パスなど様々なバリエーションがある。しかし赤木の場合はターンからのシュートしかありませんでしたw やっと身につけたスピンムーブも河田に完璧に抑えられたしw そういえばスラムダンクではフックシュートを使うプレーヤーはほとんどいませんでしたね。なぜだろう?



あひるの空にはNBAネタがたくさん

あひるの空
あひるの空スラムダンクなど他のバスケ漫画に比べより現実に近い描写がされていると言われています。しかし随所にNBAから引用された技が出てきてNBAファンはニヤリとさせられます。


あひるの空の千秋が見せたエルボーパス

NBA選手のジェイソン・ウィリアムスがオールスターのルーキーチャレンジで見せた技が元ネタです。当然こんな技実際の試合では使いませんがソレに近いようなビハイン・ザ・バックパスをバシバシ決めてました。日本でも人気のある選手です。



茂吉 要の得意技はスカイフック?

あひるの空スカイフック使う高校生がでてきます(ただし虚弱体質であまり使えない)。が、しかし私が知る限り、現在のNBAでスカイフックを使いこなしている選手はいません。スカイフックはゴールの上から下に落とすシュートなのでブロック不能(ブロックするとゴールテンディングを取られる)という解説がされていますが、茂吉 要は長身といっても198cmなわけで、ゴールの上からのフックは相当高いジャンプしないと難しいはず。スカイフックを使っていたジャバーは身長が218cm(+長い腕)あったから可能だったわけですし。

NBAの通算得点数一位、NBA史上最高のセンタープレーヤーといわれるカリーム・アブドゥル=ジャバー。超長身&長い腕から繰り出されるフックシュートはブロックが不可能でした。見ればわかる通り楽々リムに手が届くぐらい背が高い。



舌を出しながらプレー

「舌を出すと体の動く範囲が若干広がる、体を極限まで使っている」というような解説がなされていました。しかしながら、ぶっちゃけマイケル・ジョーダンの舌を出す癖を真似ていて、ソレに対する後付け解説にしか見えませんでしたw 確かにそういった解説をする専門家もいますが、ジョーダンはそんなことを考えて舌を出していたわけではなく、彼の父の癖がうつったといわれています。NBAを見た子供たちは少しでも上手くなりたい一心でジョーダンの癖を真似して舌を出しながらプレーしました。現在のNBAで舌を出してプレーする選手がいるのもジョーダンによる影響が大きいのです。

ジョーダンはペネトレイトやダンク、シュートをするときなどに舌を出します。2位のプレーは湘北が4人がかりで牧をディフェンスしたシーンとかぶりますね。牧は当然のようにフリーの選手にパスをしましたが、ジョーダンは一人でダンク決めちゃってますw 当時はジョーダン・ルールという戦術もあったくらいですからね。





色々と漫画と現実を色々と比較してきましたが、比較対象がNBAと言う時点でありえませんw しかし個人的には面白ければそれでよしだと思っています。あひるの空にもそんな描写がありますが、バスケ漫画でもっとバスケファンが増えればいいですね。


追記:あひるの空に出てくる「ダックイン」という技について。

作中で低い姿勢のドリブルを「ダックイン」と言っていますが間違っていると思います。実際はポストムーブのことを指すようです。


【関連リンク】

バスケファン向け。

*1:50%を越えるとかなり止められないor堅実であまり無駄なシュートを撃たない選手という感じになってきます。60%は強力なインサイドプレーヤー限定(ガードではありえない)。そして、70%は絶対に不可能な数字